忍者ブログ

曇った鏡

黒曜苑 更新履歴兼日記
2024
03,29

«[PR]»

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2009
11,29

11月15日の日記でも取り上げましたが、引き続き漢方薬の保険外しに関する話題です。
漸くニュースとして取り上げられたみたいですね。
遅ぇーんですわ。

漢方薬保険外に4万人以上の反対署名 厚労省に提出へ(MSN産経ニュース)
耳を疑った「漢方除外」 国際医療福祉大学大学院教授 黒岩祐治さん寄稿(MSN産経ニュース)
事業仕分け:漢方薬保険適用外 県内医師ら反対の声 /富山(毎日)
医療用漢方薬が保険適用外 価格が3倍以上治療に支障? J-CASTニュース)
【社保審医療保険部会】診療報酬改定方針を大筋で合意‐OTC類似薬の保険外しには批判相次ぐ (薬事日報)
事業仕分け:漢方薬の保険適用除外、医師や患者が反対運動 (毎日)

反対運動ってのは具体的には署名活動のようです。
先程私も署名して参りました。
mixiの方でも結構話題になってるみたいで、注目のニュースのトップになってたりしてました。漢方薬・反民主等のコミュニティ参加者を中心として、色んな人が日記で取り上げたことから広まっていったみたいです。

因みに、mixi内でよく取り上げられているブログ記事がこちら。↓
ニュースよりもより分かりやすく現場の混乱具合がお分かりになるかと思います。

皆さんに緊急のお知らせです。(LOLO CALO HARMATAN)

先日の日記では「医師会・薬剤師会はじめ色んなとこが黙っちゃいないだろう」なーんて悠長なこと書いておりましたが、そんな暢気なことをいってられる状況じゃないようです。


さて。
前回漢方薬の有用性について語ったと思いますので、今回は漢方薬が保険適応外になったら具体的にどう困るのかを説明していきたいと思います。


まず、各ニュースでも取り上げられている通り、金がかかる。
保険がきくということは3割負担で済むところを、全額負担になるのですから。今まで3千円で済んだものが1万円になったらどうよ?
国民医療費は削減出来ても、患者さんの懐も多いに削減されてしまいますよね。

何?市販の薬で医者に治療してもらえば良いじゃんって?

出来ませんよ。だから困ってるんじゃないですか。

そういうの「混合診療」っていうんですけど、日本はそれを採用してないんです。
適応から外すならまず最初にそういうバックグラウンドを固めなきゃ駄目なのにさー。
因みに混合診療を解禁するとなると保険制度を全体的に見直さないといけない(詳しくは自分で調べてネ!)のでこれまた面倒なことに。民主党はその辺苦労することを分かってて言ってんのか疑問です。
まあ分かってない以前に何も考えずに思いつきでこういうこと言ってると私は踏んでますけどね!

あと、例のブログにもあるようにツムラはじめ漢方薬のメーカーが潰れて輸入に頼ることになった場合、これまたお金がかかる。
だけでなく、中国っていうとホラ。やっぱり品質的に色々と心配なのよね……。

あ、現状でもツムラみたいな大手でも漢方薬の原料調達は中国頼みですよ。
確かに国内での栽培にも力入れてるけど、[なんちゃって医学検証]でもちょろっと触れたように栽培が難しい物ってどうしてもあるからそれは仕方がない。
でも厳選したものを使っているはずだし、品質確保はそれはもう物凄ーく頑張ってる。

その頑張ってるツムラさん達日本の漢方薬メーカーがなくなってしまったら、中国で製造された製品を使わなくてはならない訳です。きちんとした会社だったら良いけど、そうじゃなかったら?
品質のことを置いといても、副作用など何かあった時に相談するにしてもやっぱり国内企業の方がより安心だと思うのです。

もう一つ。適正使用についても不安。
混合診療が認められない以上、漢方薬を使いたかったら薬局へ行って薬剤師(又は登録販売者)から買うことになると思います。勿論処方せんはなし。
で、その薬剤師ですが。

ぶっちゃけ、漢方薬はただ単に大学出ただけの薬剤師なんかに使いこなせるような代物ではありません。

何故って?国家試験で出題される漢方薬なんてほんの一握りだけだからです。
普通に考えて漢方薬局に就職する人や研究する人以外は殆んどそれ以上の勉強なんてしませんよ。

私は趣味で勉強したりしてますが、そんな一朝一夕の勉強でどうにか出来るようなものでもない。専門のところで勉強と経験をつまなければ駄目です。

大学で教わる漢方の知識って、ほぼ薬局で不通に売ってるようなものくらいです。使い方にしたって風邪には葛根湯、水太りには防風通聖散。そんな単純な使い方。
でも処方せんで出される漢方薬って、もっといろんな使い道があるんです。
医療用の葛根湯の添付文書見てみると、「効能または効果」の項にこう書いてあります。
 

自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症

感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん

因みに一般用の葛根湯の添付文書は、こう。

感冒,鼻かぜ,頭痛,肩こり,筋肉痛,手や肩の痛み

下線引いてあるところは一般用には書いてない使い方です。同じ葛根湯でも結構違うもんでしょう?
この辺は調べればすぐ分かるようなものなんですけど、お医者さんはもっとイレギュラーな使い方をすることもあります。
イレギュラーな使い方の場合だったりしたら、その辺の薬局薬剤師じゃ薬のこと訊かれてもとてもじゃないが分かりません。
かといって漢方薬局って日本にどれだけあるかい?都会なら選択肢も多いだろうけど、田舎はどうだい?
信頼できる所見つけるの、簡単そうかい?

薬剤師は患者さんから処方せんを貰うと処方された薬をチェックして、薬の使い方は間違ってないか、他の薬と飲んでも大丈夫なのか、患者さんが妊娠していたら妊婦に飲ませても大丈夫な薬なのかとかいったことを調べます。で、問題があったらお医者さんに問い合わせる訳です。
けどねえ、処方せんなしで薬局に来られた場合そう言う情報を調べるのがやりにくいのですよ。

処方せん出されたら、病名書いてなくても薬見れば患者さんが大体どんな病気なのか分かります。
重い病気を患っているなら特に薬の使い方には気をつけなければならないので色々質問したり注意事項を言ったりします。

……建前では軽い病気だろうが何だろうが情報収集・情報提供はしなくてはならないんですけどね。
でもあんまりしつこく質問したりすると患者さんがウンザリしてしまうので実際にはよっぽどの病気持ちでもない限り最低限のことしか説明しません。
フツーに薬局で薬貰いに行ってこんなこといちいち訊かれたことあるかい?
「お加減いかがですか」「今まで何か病気したことありますか」「今飲んでる薬ありますか」「かかってる病院ありますか」「アレルギーありますか」「今まで薬飲んで蕁麻疹とか出たことありますか」「サプリメントはとっていますか」「飲酒・喫煙はしてますか」「妊娠してませんか」etc...
本当はこれ全部訊くんですよw
これうちの母に実演して見せたら「面倒くせーな、何もねーよ!」と言われましたw
でもこれが普通の反応ですよね。

で。
話を戻すけど、処方せんがないとこういう情報収集・情報提供をしなくてはならない患者かどうか見極めるのが難しいんですよね。
「医療用ですか?」とか訊けばいいんだろうけど、面倒くさがりな患者さんだとしらばっくれて「違います」とか言いかねない。
でもそれで何かあっても全責任は薬剤師が取らないといけないんですよねー。orz


……そんなこんなで保険から外されると色んな意味で困ります。患者さんも医療関係者も。
それとニュースによれば保険から外されるのは漢方薬だけじゃなくてビタミン剤やうがい薬なんかもそうなのよね。
ビタミン剤も使うのよ?薬によっては飲んでると特定のビタミンの吸収が悪くなったりして欠乏症を起こしちゃうようなのが。
あと病的な貧血の治療薬としてもビタミン剤はフツーに使いますしね。
 

このブログを読んで下さった方で、この決定に反対と思われた方。
是非とも署名活動にご協力ください
 

漢方を健康保険で使えるように署名のお願い
※携帯版はこちら

PR
trackback
この記事のトラックバックURL:

カレンダー
02 2024/03 04
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
プロフィール
HN:
年齢:
38
HP:
性別:
女性
誕生日:
1985/08/16
職業:
大学院生
趣味:
絵描き、漫画・ゲーム
自己紹介:
今春から大学院生&ペーパー薬剤師。
水滸伝との出会いの書は陳瞬臣・手塚修監修の漫画『中国の歴史』。初恋の人は林冲ですが何か。
山田章博と田中芳樹とKOKIAが大好きです。
『幻想水滸伝』も大好きだけど水滸ネタが尽きてきたならいい加減名前だけ使うのやめて欲しいぞ。(´・ω・`)
ブログ内検索
twitter
pixiv

Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP
忍者ブログ[PR]