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曇った鏡

黒曜苑 更新履歴兼日記
2024
04,24

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2009
02,01

本日ニュース(報道ステーションだったかな?)で興味を持った事があったのでちょっくら語ってみようと思います。
伝統薬業者の特集です。

製薬会社が大量生産して薬局に溢れかえってるお薬の他に、昔から子々孫々に継がれてきた伝統あるお薬ってありますよね。大体丸薬や煎じ薬みたいな生薬系のお薬です。
これらを総称して伝統薬というんですが、現在現在存亡の危機にあると。

何故か。
薬事法の改正で薬の販売は対面販売――要するに、「ありとあらゆる薬は薬剤師を通して買え、通販ももちろん駄目!」……という事になるからです。
伝統薬の顧客は比較的高年で、昔からお世話になっている、親が使っているから使っているとかいう、経験的に愛用している方が多いようです。勿論数もそんなには多くない。
したがって、伝統薬業者の収入の殆どは通信販売によるものなのだそうです。当然、薬事法の改正で通販を法的に規制されたら伝統薬業者は廃業の危機に立たされるわけです。

因みに、伝統薬の事を差し置いても私もこの法案には反対。
薬局数が少ない過疎地域の人や、障害があって薬を買いに行くのが困難な人たちにとって薬の通信販売は生命線ですから。
自力で薬局に行けなかったら死ねとでも?

一方、サリドマイド事件みたいな薬害被害者の方々はこの法案を支持しています。薬に関する十分な情報提供がされなかったために起こった事件ですから。
そもそもこの法案は、こういった薬害を出さない為にも薬剤師みたいな専門家のアドバイスをきちんと受けて薬を使ってもらうためのものなんですよね。
OK、趣旨はわかる。趣旨は大いに賛成だ。
そしてインターネットでも何だかよく分からん薬が溢れかえっていて、消費者が安易に手を出しやすい。これは大いに問題だと私も思う。そういうのの抑止力が欲しいのもわかる。

余談。
携帯版の方にも「ウン十キロ激やせ云々」とかうたってるいかがわし過ぎて突っ込む気も起きない広告見ますよね。
言っときますが本当にそんな危ない薬が一般用医薬品として厚労省の認可を受けられる訳ないので手ェ出さないで下さいね。怪しげな薬使ってアクシデント起こそうが、誰も助けてなんかくれませんよ。
重大な副作用を起こした場合、救済するシステム(医薬品副作用被害救済制度)もありますが、ちゃんとした医薬品をちゃんとした使い方で使わなければ保障は受けられません。

さて話をもどそう。
そんなこんなで確かに問題はあるけど、現在進行形で薬の通販が命綱だって人を見捨てて良いかって言ったらそれはないでしょ。絶対に駄目でしょ。
サリドマイド事件とかはともかくとして、ネット上の薬の氾濫に付随する色々ついてはある程度は消費者の責任もあると思う。
消費者一人一人が気をつければ絶対にある程度は防げるんだから、そこは教育の問題だと思うの。消費者意識の教育。そして何より薬のもつ危険性の教育。

伝統薬業者の方も言ってたけど、何も対面販売だけがコミュニケーションツールじゃないんだからさ。
因みにニュースの中で伝統薬業者の方は電話で顧客の話を聞いてカルテまで作って、よく相談した上でお薬を渡してる方がいらっしゃいました。情報提供、してることにならないんですかこれ。
因みに因みに伝統薬について情報提供できる薬剤師はそうそういないと思いますよ。伝統薬どころか生薬ですらかなり怪しいですよ。
まぁその対策に生薬の授業が私たちのカリキュラムに入ってるんでしょうが、基本的に漢方みたいな経験的医療はそういう研究室を専攻しない限り薬学部で大した知識は得られませんよ。(ツムラのお膝元の岐阜薬科とかは違うかもしれないけど)

……そういう現状もあるので、こういう伝統を維持持って薬を扱っている方々を販売者として認定することは出来ないんでしょうか。
或いは富山の薬売りよろしく配置販売にすれば良いの?どうなの?
いずれにしろ、情報提供者になれないからその販売形態を潰しちゃえって言うのはやっぱり何か違うと思う。潰すんじゃなくて、視野を広げて別の方法を考えようよ。

それにしても「伝統薬が廃業に追い込まれるのは仕方ない?」ときかれて厚労省の人が否定しなかった……つーか思いっきり肯定してた風なのには流石に腹立った。
マスコミの編集による効果だと思いたいが、特にカットも何も入ってなかった気が。orz

正直言って私は伝統薬の科学的根拠とかは半信半疑です。どっちかっていうと漢方薬と同じで、経験的にそれが効くと分かっているから有効なお薬、くらいのイメージ。だから自分自身が積極的に使うことはないと思う。
でも、薬だって立派に文化の一部だと思うし、伝統工芸とかと同列に保護していくべきだと思うんですよ。
だって西洋の医学を本格的に導入する前は確実に日本人の健康を支えてきたものの筈なんですから。
全国伝統医薬連絡協議会」は医療分野の重要な財産だと主張をしてますが、私は大賛成です。

それにですね、これは私の私見ですが、伝統薬はもしかしたら新薬鉱山かもしれないんですよ。
今書いてる「武松の瘧」の検証の中でも触れてるんですが、今漢方薬が注目を浴びてるんです。
実際いま最も有効なマラリア治療薬のひとつ、アーテミシニン(製品名アリネート)は生薬由来の薬です。
うちの大学の先生が話してくれたんですが、「林沖の火傷」で紹介した紫雲膏も医療、美容などの観点で注目を浴びているんだそうな。
日本の伝統薬の中にも新薬のヒントが隠されていたっておかしくないじゃないですか。何でみすみすその可能性を潰すかな。

伝統薬だけに限ったことじゃないけど、とにかく日本て国はどうしてこう、自国の文化を大切にしないのかなぁ。
無くなってから後で嘆いたってもう遅いのにさ。

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1985/08/16
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自己紹介:
今春から大学院生&ペーパー薬剤師。
水滸伝との出会いの書は陳瞬臣・手塚修監修の漫画『中国の歴史』。初恋の人は林冲ですが何か。
山田章博と田中芳樹とKOKIAが大好きです。
『幻想水滸伝』も大好きだけど水滸ネタが尽きてきたならいい加減名前だけ使うのやめて欲しいぞ。(´・ω・`)
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